掌に乗せられるほどの小さなフレーム内。
凸凹のあるマチエールにアクリルで繊細
なタッチで描かれた鳥、木々、人物
まるでミニチュアの様に愛らしく、
ずっと静かにみていたくなる
鈴木恵美さんの絵画作品たち。
5月に控えている千葉県、市川市の企画展
示会場で作家、鈴木恵美がうまれるまで
と作品制作の裏側を伺いました。
<昔からやっていることは変わらないかもしれません>
ーまず、美術の道に入られる前の 幼少期はどんなお子様でしたか? 「本当に普通の子供でした(笑) アート系の仕事でもなかったですし。 ただ子供の時から飼っていた白い 犬をモチーフに絵を描いたり何か 作っていました。今は飼っている猫を 絵に描いているので昔からやっている ことが変
中学生になり引越しした先で知り合った 友人達から音楽やファッ の影響を受け、 を志すようになった鈴木さん。大学進学 の際は作品を作る上で幅広い手法を試し てみたいとのことで現代アートを専攻さ れました。
「2年間の美術短大はあっという間でした。 イジー・バルタやヤン・ マイエルなど少しボロボロっとした 壊れたような世界観が好きでした。 与え続けています。」
大学卒業後は映像からは離れ、表現 方法は絵へと移ります。一旦,実家に 戻り事務の仕事をしながら絵を描き 続け、お金を貯め海外へ出ることを 決意します。この時、鈴木さんは 2
「働きながら絵を描き、 東京に来てギャラリーを回ったりして いました。 に行くのは楽しかったですが引っ込み 思 というアピールはできず、 作品見ても誰とも話さず立ち去る・・・ ということをしていました。 するには、どうにかしないとなぁと思いつつ ーどうにかなるだろうー と考えていました。作品を作りは楽しく 大切な時間なので、いつかこんな ところで作品展ができたらいいなぁ〜 という思いで続けていました。」 まだ画家として名乗る前の焦燥感を感じ ながらもインプットとアウトプットの 楽しさにあふれている日々を過ごした <何かをする、というよりは空気吸ってこようくらいの気持ちで> 22歳になり、行き先はイギリス・ロンドンに 決め,いよいよ日本を旅立だった鈴木さん。 「何かをする、 こようくらいの気持ちで行きました。 自分 という理由でロンドンに行きましたが ポンドが高くてあ なくなり(笑) 暮らしていました。」 海外に行ったら、といって性格が 変わるわけではなくひたすら プラ 通っていました。 作品を作り、写真を撮り、海外に 行かなくてもできるじゃないか ということもしていましたね
ロンドンではフランシス・ ベーコンやジェニー・サベルの作品 に衝撃を受け、人物画を描いたり 抽象画を描いたり、様々な作風を 模索した時間を過ごしたそう。
帰国後、一旦地元で働きながら、 東京で、と決意を固め上京準備 を開始します。
「 東京で売り込みも始めました トをしながらギャラリーにコンタクトを 取ってみたり、イラストレーションの お仕事を受けられるようデザイナーさん に売 を頂け、 りしていきました。 「絵を描く時間を大切にしたかったので 家から遠くの美術関係の仕事 という考えはなく、家から近い販売の 仕事をして夜は制作。 だったのでバイトも作品作りもバランス よく出来 コンペにも出しました。 と仲間を作ることもなくいつも一人で 何かを作って いつでもどんな環境でも黙々と作品作りに向 かう鈴木さん。そのブレない姿勢と作品を作る ことの楽しむ気持ちを持ちつつけて 情熱は、 強さを感じます。 <偶然手に入れた凹凸のあるマルベリー紙> ある日、作品作りを続ける中である素材と 運命的な出会いをすることになり
「 ラッピングの包みとして 凹凸のあるマルベリー紙です。日本の和紙より さらに丈夫です。 描けるのも魅力です。」
可愛らしいサイズ感が魅力の鈴木さんの 絵画作品ですがこのサイズ 経緯も聞きました。
「 こともあり小さいものが が絵を見てくださった方が「 やすい」 小さい作品を作るようになりま にいた時は大きいものも描いていましたが (笑)手のひらに収まる小さな作品を いっぱい作る楽しさもあります。」 作品の一部でもある小さなイーゼルや額も 鈴木さんご自身で一点一 いて、作品のある空間が豊かになる仕掛け に溢れています。
「 らなくて残念だと感じてい 木の枠を作り、 飾れるようにイーゼル型の作品を作り 展示の直前はひたすら額を作っています。 (笑) 自分でやっていますが額まで全部つけると 達成感
また筆者が特に好きになってしまったのが鈴木 さんのインスタグラ さん自身が手に作品を持ち、 並んでいるのですが、ときに絵具だらけの手指 と共に映る作品が新鮮な印象で大変魅力的
「 ある壁だったので絵を 無かったのです。たまたま手に持って写真を 撮ってインスタグラムに上げてみたら「 感がわかりやすい!」と評判でしたので続けて います。 フォンで、 でやっています。」
<なんでもない日々のなかでもテーマになりえる>
肩肘張らずいつも自然体な鈴木さん。 す部屋の中で、日夜作品を作りながらより良い 作品の見せ方 が目に浮かびます。そんな自然体な鈴木さんは 昨年から今年にかけての、室内での新しい生活 様式の変化をどう感じているのでしょう?
「私自身今回のことでいろいろな影響を受け、 色々な事がわかりました。まず、 も良いなと気がつきました。今までは海外に行 って影響受けなくちゃと思ったり、 きゃいけない、 っていろいろ無理していたことに気 そういうのがなくなっても、もっと素直に シンプルに無理しなくて良い、飾ってない 自然な感じを大事にしたいと感じるように なりました。
なんでもない日を,なんでもなくない日にする ことが出来る鈴木さんのまなざしを、ちょっと した仕草にも垣間見ることが出来ました。 インタビューを終え、 チェックする鈴木恵美さん。最近は個性的な 和紙を使った作品作りもしているとの事。 穏やかな5月 どんな鈴木恵美作品に出会える 期待が高まります。 5月の展 も披露してくださる予定です 「Sounds of fl」.鈴木恵美×青木香織2人展 5月15日~23日・18日(休み) 11:30~17:30 リラ ギャラリにて (千葉県市川市八幡5丁目6-29ぷんぷく堂 右手階段上る) ※コロナ感染症による変更の可能性がございます。 @gallerylemaniをご確認の上ご来場ください。 文・インタビュー 眞鍋玲 ・写真・燈tomori編集部 ※本文記事、画像の無断転載を禁じます。 ©Gallery Le Mani
|